子どもの不安障害:親が知っておきたいこと|ブラウン大学ニュースレター|図書館|チャイルド・リサーチ・ネット(CRN)
Vol. 22, No. 2, February 2006
子どもの不安障害:親が知っておきたいこと
子どもの不安障害:親が知っておきたいこと
不安障害とは
子どもや青少年の不安障害の一般的な症状は、激しい恐怖や過度の心配あるいは不安感である。これらの症状は長期に渡ることもあり、著しく患者の生活に支障を与える。早期治療を施さなかった場合、次の事態を招く恐れがある。
・ | 不登校の繰り返し・中途退学 |
・ | 友人との不和 |
・ | 低い自己評価 |
・ | 飲酒や薬物の服用 |
・ | 学校などの活動の場での不適応 |
・ | 不安障害の成人後の継続 |
不安障害の種類と症状
子どもや青少年の不安障害は多種多様である。その種類と症状を下記に説明する。
全般性不安障害:全般性不安障害にかかった子どもや青少年は日常生活において極端で非現実的な不安に陥る。学校の成績や、スポーツ活動に対し過度の不安になったり、時間通りに行動できるかについても心配したりする。全般性不安障害のある若者は、たいていの場合、自意識過剰で強く緊張しており、必死になって安心感を求めている。又、身体的な原因は何もなさそうなのに、腹痛や他の不調を訴えるケースもある。
分離不安障害:分離不安障害のある子どもは親から離れて、登校すること、キャンプなどに参加すること、友人宅に外泊すること、一人でいることが非常に困難である。多くは親から一時も離れたがらず、寝付きが悪い。鬱・悲しみ・ひきこもりの状態や、家族の誰かが死んでしまうのではないかなどの恐怖感を抱いている場合も多い。
恐怖症:恐怖症の子どもや青少年は特定の状況や物事に対して非現実的かつ過度の不安を抱く。恐怖症の多くはそれぞれ病名があり、主に動物・嵐・水・高所・密閉空間などに対する恐怖症があげられる。社会恐怖症のある子どもや青少年は他人から非難されることや厳しい評価を受けることを恐れる。また、恐怖症のある若者は恐怖の対象である物事や状況を避けるようになるので、生活が著しく制限されてしまう。
パニック障害:不明確な原因の「パニック発作」を幼児期や青年期に繰り返すことはパニック障害の兆候である。パニック発作は、一定期間続く激しい恐怖感で、その間、激しい動悸、発汗、めまい、吐き気、死が迫ってくるような感覚におそわれる。発作時に体験する恐怖感があまりに強いので、患者は次の発作が起きる恐怖におびえながら生活している。
強迫神経症:強迫神経症のある子どもと青少年は特定の思考・行動を繰り返すパターンにはまってしまう。何度も繰り返して手を洗う、数を数える、物を置きなおすなどの行動をとる。
心的外傷後ストレス障害:子どもや青少年はストレスが非常に高まる事件・事柄を経験した後に心的外傷後ストレス障害(PTSD)を発症することがある。身体的又は性的暴力を受ける、暴力行為を目撃する、爆破事件やハリケーンなどの惨事に遭うことなどがPTSDを誘発する。PTSDの若者は、強烈な記憶やフラッシュバックによって、あるいはその他、困りきったときの思考を通して、その苦しかった事件を何度も何度も反復して体験する。
不安障害の罹患率
不安障害は、幼児期と青少年期に発症するもっとも一般的な精神、情緒、行動に関する障害である。子どもと青少年(9〜17歳)100人中13人がなんらかの不安障害を経験している。少女の罹患率は少年の罹患率よりも高い。不安障害を抱えた児童と若者の半数は、複数の不安障害、あるいは、鬱病などの精神障害や行動障害を併発している。不安障害の患者は、身体の状態も悪く治療の必要がある場合もある。
不安障害にかかりやすい人
子どもや青少年が罹る数種の不安障害には、基本的気質が関係していることがわかってきている。この分野の研究を非常に複雑にしているのは、子どもの不安の対象が年齢が上がるにつれて頻繁に変わるからである。子どもが6〜8歳の頃に不安障害の徴候を注意深く観察することを研究者たちは提案している。また、不安障害のある両親をもつ子どもや青少年の同障害の罹患率は通常より高いと研究結果からわかっている。
不安障害のある若者のための治療方法
的確な診断後の治療は以下の通りである。
・ | 認知行動療法-患者の若者が、考え方や行動を改善して不安への取り組み方を学ぶ。 |
・ | リラクゼーション療法 |
・ | バイオフィードバック−ストレスや筋肉の緊張をコントロールする。 |
・ | 家族療法 |
・ | 両親のトレーニング |
・ | 薬物療法 |
両親ができること
子どもや青少年に不安障害の症状が繰り返して見られる場合、親、あるいは養育者がすべきことは次のとおりである。
・ | 子どもの精神保健の専門家に相談する。症状が不安障害によるものか、その他の条件・状況に起因するのかの助言をし、必要な場合には精神衛生の専門家への紹介状を書いてくれる。 |
・ | 不安障害のある子ども・青少年の治療、訓練の実績があり、認知行動療法や行動療法、薬物療法を施せる精神衛生の専門家を探すこと(訳注:アメリカでは博士号取得後に850時間以上のトレーニングを経ることなどを条件に臨床心理士にも処方を行うことを許可している州がいくつかある)。またはそのような経験のある精神衛生の専門家と協力して治療に取り組んできた内科医を探す。 |
・ | 図書館、ホットライン、他の情報源から的確な情報を得る。 |
・ | 治療やサービスについて質問する。 |
・ | 地域に住む他の不安障害の子どもをもつ家族と話す。 |
・ | 患者の家族団体を見つける。 |
治療・訓練に不満がある場合にはその提供者とよく相談する。また様々な機関から情報を集めたり助けを求めたりすること。(参照
The Brown University Child and Adolescent Behavior Letter, February 2006
Reproduced with permission of John Wiley & Sons, Inc.
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